WORKS
相馬市M邸
「音の森」 ピアノ教室+住宅
1.街角に音楽の森を創る
M邸はピアノ教室を併設した住宅です。相馬中村城址の堀端の閑静な住宅街に立地し、敷地は鋭角な三叉路に挟まれるような形状をしています。三叉路に突き出た位置にピアノ室を配置して、その周りを樹木で囲むことで、小さな森の中からピアノの音色がご近所の迷惑にならない程度に心地よく漏れ聴こえてくる、そんな小さな「音楽の森」を街角に作り出すことを意図しました。
ピアノ室からは防音に配慮したスリット窓越しに風にそよぐ樹木の緑や木漏れ日を望め、自然の気配を感じながら演奏を楽しむことができます。
室内は天井を勾配にするなど音の並行反射を少なくするなどの音響的配慮や、壁・開口・換気経路などに一定程度の防音対策を施しています。また、インテリアは無垢のフローリングや木の梁を一部あらわすなど自然素材の質感を活かしたナチュラルな雰囲気としました。
2.吹抜けのある家
住宅ゾーンの中心には吹抜けを設けました。この吹抜けを介して、1階のキッチン・ダイニングから、2階のギャラリー越しに家族の気配を感じることができます。
吹抜けの南面には深い庇の屋根と日よけを兼ねたバルコニーを設け、キャットウォークから2階窓の開閉も容易にできます。また吹抜け~北側階段を巡る空気の循環ルートを確保することで家全体が均一な温熱環境になるように配慮しています。夏は吹抜け上部に設けた小型エアコン+シーリングファン、冬は床暖房+シーリングファン、中間期は自然の通風によって、吹抜けを介した快適で省エネな空間を実現しています。
3.自然素材を活かす
ピアノ室以外の住宅部分も、無垢のフローリング材や梁のあらわしのほか、寝室壁には吸放湿や脱臭に優れた珪藻土壁など、自然素材を活かした内装を取り入れています。屋外についてはメンテンナンス性を考慮して、過度な自然素材の使用は避け、外構材など将来的にDIY等で容易にメンテンナンスできる部分に自然素材を用いました。
4.家づくりを楽しむDIY
寝室の珪藻土壁塗り、外構の木塀貼りをDIYで行いました。家づくりにDIYを取り入れることは、単純に楽しいだけではなく、住み手が家づくりのプロセスに参加することで、家に対する理解や愛着を深めるきっかけとしても有効です。
5.長期優良住宅
耐震性能、省エネ性能、メンテナンスの容易さなど、住宅にとっての基本的な性能を確実に確保するため、客観的指標としての長期優良認定を取得しています。また子育て支援事業や県産材の活用支援事業の補助金なども有効に活用しました。
- ー 所在地
- 相馬市
- ー 用途
- ピアノ教室併設住宅
- ー 竣工
- 2023年4月
画像をクリックで拡大できます